若い人たちを対象としたピーチハウスの暴力未然防止活動では、
「選ぶ」 というキーワードを使うことが多い。
例えば、具体的事例やケースを紹介したり、考えてもらいながら
「暴力でない方法を選んで、相手に気持ちを伝えることが、私たちにはできる」
「私らしく生きるために、行動を選ぶことができる」と伝えたりする。
まさに今、フランスの同時多発テロで妻を失った
フランス人ジャーナリスト、アントワーヌ・レリスさんは、
暴力でない方法で悲しみを伝え、暴力でない方法で共に残された息子に愛を伝えている。
2015/11/19朝日新聞報道によると、
「私と息子は2人になった。でも世界中の軍隊よりも強い。
(中略)彼は生後17カ月で、いつものようにおやつを食べ、私たちはいつものように遊ぶ。
彼の憎しみを勝ち取ることもないのだから。」と綴る。
「息子には、憎しみを抱かず世界に目を見開いて生きていってほしいから」と語ったという。
以下は、レリスさんのFB内容の全文(朝日新聞報道から)
金曜の夜、君たちは素晴らしい人の命を奪った。私の最愛の人であり、息子の母親だった。でも君たちを憎むつもりはない。君たちが誰かも知らないし、知りたくもない。君たちは死んだ魂だ。君たちは、神の名において無差別な殺戮(さつりく)をした。もし神が自らの姿に似せて我々人間をつくったのだとしたら、妻の体に撃ち込まれた銃弾の一つ一つは神の心の傷となっているだろう。
だから、決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。君たちは、私が恐れ、隣人を疑いの 目で見つめ、安全のために自由を犠牲にすることを望んだ。た、だが君たちの負けだ。(私という)プレーヤーはまだここにいる。
今朝、ついに妻と再会した。何日も待ち続けた末に。彼女は金曜の夜に出かけた時のまま、そして私が恋に落ちた12年以上前と同じように美しかった。もちろん悲しみに打ち のめされている。君たちの小さな勝利を認めよう。でもそれはごくわずかな時間だけだ。 妻はいつも私たちとともにあり、再び巡り合うだろう。君たちが決してたどり取り着けない自由な魂たちの天国で。
私と息子は2人になった。でも世界中の軍隊よりも強い。そして君たちのために割く時間はこれ以上ない。昼寝から目覚めたメルビルのところに行かなければいけない。彼は生後17カ月で、いつものようにおやつを食べ、私たちはいつものように遊ぶ。そして幼い彼の人生が幸せで自由であり続けることが君たちを辱めるだろう。彼の憎しみを勝ち取ることもないのだから。