2011年6月17日金曜日

「なぜ私たちは泣くのか」

知人宅で「犯罪心理」というタイトルにひかれて、手にした科学雑誌が期待以上によかった。

とりわけ一気に読んでしまったのが、「なぜ私たちは泣くのか」という記事。

苦しいときに叫んだりする生き物はいるけれど、感情の涙を流すのは人間だけだという。
人類以外の生物にとって、涙を流す目的は一種のハウスキーピング機能で、目を潤したり傷から癒したりするもの。

感情の涙を流すという行為は、生物進化のある段階で高度な脳機能と結びついた、人類のみが手にした知的な行為ということだった。

高次の脳をまだ機能させていない新生児は、泣いても涙は流さない。

「私たちはつらいから泣くのではなく、おそらくつらさを乗り越えようとして泣いているのである」


東北の避難所生活を送る女性が、仮設住宅入居の抽選に漏れた夜に激しく泣いてしまったことで、翌朝周りの人たちに謝ってまわった、ということを話しているのを、過日テレビで目にした。

「涙を流す」という行為を目にすると、多くの人の多くの感情が大きく揺さぶられる。
でも、それが人間だからこその行為であり、癒しの行為であることを多くの人が知ってくれたらと強く願う。

記事の最後はこう結ばれている。
涙を流さないとしたら、「We would not be human.」

書き漏れたけれど、感情の涙は生存とも密接に関係する。

雑誌は「Scientific American Mind: thought, ideas, brain science』, December2006/January2007
記事は、Why Do We Cry?, pp.44~51
www.sciammind.com