2008年7月4日金曜日

私信:幕別高校3年生のみなさんへ

志堅原は7月3日、幕別高校でデートDV(デート相手からの暴力)防止教育のファシリテーターを務めました。大切なことを伝えるために行ったのですが、逆に大切なことにたくさん気付かせてくれた幕別高校3年生の皆さんに感謝しています。

何より、「ファシリテーター」とは、正しい情報を伝え参加者が自分で考えられるように環境を整える者で、正しいことを教える役割ではない、という大切なことに気付かせてくれました。皆さんと一緒に考えよう、という対等な姿勢ではなく、とにかく教えよう、という上から目線だったと反省しています。私は、つらいデートDV事例とその暴力を数多く知っているので、皆さんにDVの被害者にも加害者にもなってほしくない、という思いがとても、とても、強すぎたのかもしれません。

また、「伝える側」も悲しい気持ちや動揺を言葉にして伝えてもいいのだ、ということにも気付かせてくれました。

私は新聞記者を経て渡米、その後大学で教鞭をとって12年になります。が、高校での講義は初デビュー。まさしく初心者です。今どきの高校生に会って知り合いになるのをかなり楽しみにしていました。しかし、会場に入ったときに、これまで経験したことのない状況にひどく戸惑いました。

動揺すると、心の「ゆとり」がなくなります。どう近づいたらいいのか、と考えようとするのですが焦って思いつかない。皆さんの応援と助けがほしかった。近づきたい、という思いが空回り。そうすると、さらに「ゆとり」がなくなる。まさしく悪循環です。皆さんの関心を上手く引き出すことができなかったことを謝ります。そんな状況で、長い時間話しを聞いてくれて本当にありがとう。

今回、皆さんに配布したデートDVの資料を捨てないで、もう一度ゆっくり目を通してほしいです。まずは身近にあるDVとその暴力に気付いてほしい。

束縛は危険!相手を思いのままにしようとする「支配」の始まりで、デートDVの始まりです。
「あなただけ」「君だけ」という二人の世界も危険!周りの声が聞けなくなってデートDVが起こっても気付けなくなる。
一人ひとりが、上下や主従関係のない対等な幸せな交際をしていってくれるのを心から願っています。

また、2度にわたって帯広駅までの車中で皆さんの様子を観察することができて幸運でした。
楽しかったです。

今回の出会いのきっかけをつくって頂いた野澤早苗先生には、特に感謝しています。
次回は、北海道大学でデートDV防止教育の実施です。最善を尽くします。
応援してくれると嬉しいです。